いちばん怖いもの

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最近、スマホ中毒気味で
スマホを見続けたあと
頭の中が電子レンジに入れられた
(ことはないですが)
気分になることが度々ありました。

そんなとき
村上春樹の短編を読むと落ち着く自分に
気がつきました。
長編は読むのにエネルギーがいるのですが
短編はエネルギーをもらえる感じがします。

以前、エッセイで
短編は背負うものが少なく
ニュートラルに伝えたいことが
書けるとおっしゃっていました。
それが読者である自分にも
影響するのかもしれません。

村上さんの『レキシントンの幽霊』という
短編集の中に
『七番目の男』という作品があります。

ある男が
幼少期の出来事を回想するところから
話が始まります。

海辺の町に住んでいた彼(ある男)は
台風の日に近所に住んでいた親友と一緒に
(彼が誘ったかたち)
台風で荒れた海を見に行きます。
そこに大きな津波がやってきて
親友は<波>にのまれてしまいます。
彼は親友が<波>にのまれそうになった時
助けることもできたかもしれない
位置にいました。
しかし、恐怖が勝って
彼は逃げてしまいました。
<波>はそんな彼に
親友を使って責めたててきたのです。
(これは読まないと怖さが伝わりません)
彼はそのことを、その後の人生をかけて
悔み続けます。
その町を避け、人を避け、
存在を消すように生きるのです。
しかし、父親の死をきっかけに
その町に戻ります。
そして、しばらくするうちに
自分が大きな思い違いをしていたことに
気がつくのです。

彼は最後にこう語ります。
「私は考えるのですが、
この私たちの人生で真実怖いのは、
恐怖そのものではありません」
「恐怖はたしかにそこにあります。
それは様々なかたちをとって現れ、
ときとして私たちの存在を圧倒します。
しかしなによりも怖いのは、
その恐怖に背中を向け、
目を閉じてしまうことです。
そうすることによって
私たちは自分の中にある
いちばん重要なものを、
何かに譲り渡してしまうことになります。
私の場合には――それは<波>でした」

で終わります。

ネットサーフィン=波
重要なものを譲り渡してる感覚
見なきゃいけないものを
見ないでスマホに逃げている自分……。

なんともいろいろなことを示唆している
作品なのでした。

村上春樹の文章から伝わってくるメッセージは
一瞬わかりにくくて
混乱することもあるのですが(私だけ?)
時間をかけて
じんわりエネルギーに変換される、
そんな力を持っているような気がします。

ではね!

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